噴水広場の小道の先には、ちょうど良い広さの空間があった。この辺りは人通りも少なく、話をするにはもってこいの場所のようだ。
俺は、少しよれた手紙を少女に渡し、変わりにしわ一つない綺麗な、同じく淡い藤色の手紙を受け取った。 その手紙の一行目には… ―――イキシア=フォイアー…… 知らない名前。 だが俺は、 「内容は、ほとんど同じみたいね」 「…ああ」 「これ、いつもらったの? 私は一、二週間前だけど…」 「…届いてすぐに村を出たから、俺もだいたいその位だ」 頭の中で数える。 一部記憶がかけているけれど。 「村? あなた、どこから来たの?」 「…………」 ただの好奇心だろう。ならば、答えることなど、出来るはずもない。 今は亡き、村の名など… 「答えたくないなら別にいいわ。これからどこに行くの?」 「…王都に行こうと思っている」 こちらの沈黙に訝ることなく話し続けるフィリーネに虚をつかれる。 特に興味もないのか、それとも… 心が、安まる。 「王都…ね。そうね、二人なら何か見つけられるかもしれないわね」 二人? まさか… 「ちょっと待ってなさい。すぐに戻るわ」 |