戦国無双3 〜両兵衛〜 ショートストーリー
ネタばれ注意 官兵衛ストーリーを終わらせた方のみご覧ください 氷鏡は半兵衛派(?)なので、 こんなの違うとかこんなこと言わないとかの苦情は受け付けませんですの それでは、どうぞ↓↓
あの者の寝顔は、安らかだった――
私は明りを消し、立ち上がった。未練がない、と言えば嘘になる。だが、私は立ち止まるわけにはゆかぬ。……天下泰平のために。 そっと部屋を出る。そこへ、少し慌てた様子の秀吉様がお見えになった。 「半兵衛は?」 「逝きました」 「そう…か…」 私は黙礼し、廊下を歩きだした。背後から、忍び泣く声が聞こえてきたが、私が振り返ることはなかった。 あれから私は空を見上げることが増えた。軍略を練っている際、ふと空を見上げる。そこに確かな“光”を見出し安堵する自分に、驚きを覚える。だが、嫌な気分ではない。 やがて、信長の訃報が届き、秀吉様が天下の主となった。果たして、みなが笑って寝ていられる世に、なっただろうか。卿のいないこの世でも、そのことに意味はあるのだろうか。しかし、まだ、すべての火種を葬ったわけではない。 再び乱世となった。私は迷わず、家康の元へ参じた。秀吉の者は二分され、私は清正とともに、火種を潰した。その後、清正は和平をもちかけたが、無駄なことだ。乱世の火種は、すべて消さなければ。 清正に言われた。お前に人の心はないのかと。そのようなもの、初めから持ち合わせてはおらぬ。天下を動かすのは力だ。……だが、情を持つ者は嫌いではない。私は少し変わったようだ。卿の影響かもしれぬ。今日も、空は晴れ渡っている。 これが最後の戦であった。清正との戦い。今日は生憎な天気だったが、致し方あるまい。卿は言ったな。私の将来が心配だと。若造に斬られるのではないかと。私は、悲しむ愚物はやがてこの世からいなくなるから構わないと答えた。その思いに、嘘はない。今は、何の未練もない。泰平の世に一歩近づいたのだ。……私が導きだした泰平への答えを、卿はどう見るのだろうか。 “光”が、降り注ぐ。私も、寝るとしよう。目が覚めた時は、卿が、傍にいる。 ――彼の寝顔も、安らかだった。 END
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